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誰もが最初に強い物を目に焼き付ける
その中に、繊細さ、わび、さびなどが隠れていても気付かない
例えば、歌舞伎、義太夫はどうだろう
強い伝統性と過大なアクションに隠れた心系の呼音
僕たち日本人は、叫びが哀しみになったり、喜びだったりすることを知っているはずだ
猿乃助の奥に潜む広大な未知とのリンクをその完璧なまでの透明な繊細さを
最初から、誰が、見透かしていただろうか
メリーゴーランドのステージを一見すると、非常にどろどろした強い影を感じるだろう
そのために、目を背けるかもしれない
しかし、或年齢の時期、相対的に
誰もが持っている混沌(カオス)を表現しているに過ぎない
『青春の光と影』、『太陽の季節』
それらに、まばゆい光と底知れぬ影が同居したように
誰もが心の片隅に、冷酷で残忍な美を潜ませている
ロックを所有出来るのは或年齢の特権なのだ
それは、『混沌』と『無秩序』というその年齢の土壌にしか育たない
鋭角に尖った石が上流から下流にいくにしたがって
尖った角が取れて丸くなってゆく
最初から丸かったらどうなんだろう
下流にたどり着いたら何もなくなって、砂になってしまう
鋭角に突出しているから激しい流れを越えても残っていられる
メリーゴーランドの際立った特異性は鋭角に尖っている
だが、本質的に持っている繊細さ、わび、さびのメロディーラインは
次に用意される取っておきの媚薬のように待ち構えている
誰もが気付き始めているはずだ |
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